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介護老人保健施設(老健)とは?特徴や他施設との違いを解説
「退院の後、すぐに自宅での生活は難しそう…」「リハビリを続けながら安心できる場所で過ごしてほしい」
そんなふうに、ご家族のこれからの生活について悩んでいませんか?
医療・介護・リハビリを組み合わせて在宅復帰を支えるのが「介護老人保健施設(老健)」です。病状の安定した高齢者が、再び自宅で暮らせるように、多職種の専門スタッフが生活と機能回復をサポートします。
ただし、老健はあくまで「中間施設」であり、利用できるのは、原則として数ヵ月単位の期間に限られます。長期的に安心して暮らしたい場合には、特別養護老人ホームや有料老人ホームといった施設が選択肢となります。
この記事では、老健の特徴や入所条件、費用、利用の流れ、さらに特養や有料老人ホームとの違いを分かりやすく解説しています。大切なご家族に合った施設を検討する際の参考に、ぜひ最後までご覧ください。
介護老人保健施設(老健)とは?
老健は、病院とご自宅をつなぐ役割を持つ介護保険施設です。医療と介護、リハビリを組み合わせて、利用者様の在宅復帰を目的としています。
老健の定義と役割
老健とは、介護保険が適用される公的な介護施設です。病状が安定した高齢者に対し、医師の医学的な管理のもとで、看護や介護、リハビリテーションを提供します。
最大の特徴は、病院とご自宅での生活をスムーズにつなぐ「中間施設」としての役割を持っていることです。入院生活で体力や生活力が落ちてしまった方が、再び自宅で生活できるよう、専門職が連携してサポートします。
期間限定でリハビリに集中し、自宅へ帰る場所
老健は、特養や有料老人ホームのように「長く暮らす場所」ではありません。原則として入所期間は数ヵ月単位に限られています。
その間に、リハビリを通して体の機能を回復・維持し、自宅での生活を再び送れるようにすることが大きな目的です。そのため、利用を希望される際には「一時的に利用して、その後は自宅に帰る」という前提を理解しておきましょう。
※介護施設について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→「 一覧表ですぐに分かる!介護施設の種類と特徴について解説 」
入所するための条件
ここでは、入所するための条件と利用できる期間について解説いたします。
対象者の条件
老健の対象となるのは、以下のすべての条件に当てはまる方です。
- 年齢:原則として65歳以上の方。
- 要介護度:市区町村から要介護1以上の認定を受けている方。
- 状態:入院治療の必要がなく、病状が安定している方。
- 目的:在宅復帰を目指したリハビリテーションを必要としている方。
※40〜64歳の方でも、特定疾病により要介護認定を受けていれば対象となります。
※介護保険の申請について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→「 初めての介護保険申請ガイド:手続きから利用開始までの流れ 」
入所期間の目安
老健は「長く暮らすための施設」ではなく、一時的な利用が原則です。入所期間の目安は、一般的に3ヵ月〜6ヵ月程度とされており、3ヵ月ごとに身体状況の評価が行われます。
その結果を踏まえて、退所して在宅生活が可能か、あるいは引き続き入所が必要かを検討します。在宅復帰が難しいと判断された場合には、特別養護老人ホームや有料老人ホームなど、長期的に生活できる施設への移行を考えるケースもあります。
老健で受けられるサービス
老健では、在宅復帰に向けて必要となる医療・介護・リハビリを多職種が連携して提供しています。ここでは、老健で提供するサービスを紹介いたします。
リハビリテーション
老健では、専門職によるリハビリテーションが実施されます。理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)といったリハビリの専門スタッフが配置され、利用者様の身体状況や目標に合わせた個別プログラムが提供されます。
入院で低下した体力や生活能力を取り戻し、できる限り自宅での生活に戻れるよう支援するのが目的です。
医療的ケア
老健には、医師や看護師が配置されているため、健康状態の管理や医療的ケアを受けられます。痰の吸引や経管栄養など、一定の医療ニーズに対応できるのも特徴です。
あくまでも介護施設なので、病院のような高度な治療を受けることはできません。しかし「一定の医療」と「介護」の両方を受けられるメリットがあります。
日常生活の介護支援
リハビリや医療的ケアに加えて、食事や入浴、排泄・着替えなどの日常生活全般にわたる介護サービスも提供されます。また、管理栄養士による栄養バランスの取れた食事をはじめ、健康状態を支えるサポートも充実しています。
さらに、掃除や洗濯、リネン交換などの生活面の支援も行われ、利用者様は、快適に過ごすことが可能です。
費用の目安について
ここでは、老健の費用について紹介いたします。
基本的な費用構成
費用は、介護度や部屋のタイプによって変動します。一般的には月額10〜21万円程度が目安です。
老健の費用は、大きく分けて以下の項目で構成されています。
- 介護保険サービス費の自己負担分(所得に応じて1〜3割)
- 居住費(部屋代):多床室か個室かで差があります。
- 食費:管理栄養士が栄養バランスを考慮した食事です。
- 日常生活費:理美容代やレクリエーション費用などが含まれます。
これらを合計した金額が、毎月の利用料として必要になります。居住費と食費は施設ごとに差が出やすい部分ですので、事前にしっかり確認しておくと安心です。
費用を抑えるための軽減制度
所得の少ない方を対象に、居住費や食費の負担を軽減する「負担限度額認定」制度があります。市区町村に申請すると、自己負担額が軽くなる場合があります。
また、1ヵ月に支払う介護保険サービス費の自己負担額が上限を超えた場合、その超過分が払い戻される「高額介護サービス費制度」も利用可能です。老健の利用を検討する際には、あらかじめ市区町村の窓口やケアマネジャーに相談しましょう。
【参考】厚生労働省「 高額介護サービス費の負担限度額について 」
利用までの流れ
老健を利用するまでの一般的な流れは、以下の通りです。
- 相談:まずは担当のケアマネジャーや、地域包括支援センターに相談します。病院に入院中の場合は、医療ソーシャルワーカーが相談窓口となることもあります。
- 書類提出・申し込み:入所を希望する施設を見学し、申し込みます。
- 面談:施設の担当者とご本人・ご家族が面談し、健康状態や生活状況について確認します。
- 入所判定会議:施設内で医師や看護師、相談員などが参加する判定会議を行い、入所の可否や利用開始時期が決定されます。
- 契約・入所:契約書を交わし、サービス内容や費用について確認のうえ、入所となります。
ケアマネジャーや病院の相談員にサポートしてもらえるため、初めての方でも安心して手続きを進められます。
老健と他施設との違い
ここでは、老健が「特別養護老人ホーム(特養)」および「有料老人ホーム」と、どのように違うかを解説いたします。
特別養護老人ホーム(特養)との違い
老健と特養の違いについて、表で解説いたします。
| 項目 | 介護老人保健施設(老健) | 特別養護老人ホーム(特養) |
|---|---|---|
| 目的 | 在宅復帰を目指すリハビリ | 終身にわたる生活の場 |
| 入所期間 | 概ね3〜6ヵ月の期間に限る | 長期的・終身的 |
| 入所条件 | 原則要介護1以上 | 原則要介護3以上(例外あり) |
| 医療ケア | 医師が常勤し、体制が手厚い | 看護師はいるが、医療ケアは施設による |
以上のように、老健と特養の最も大きな違いは「目的」です。
老健がリハビリを経て自宅に戻るための「中間施設」であるのに対し、特養は長期的な生活を前提とした「住まい」としての役割です。
どちらの施設が適しているかは、ご本人が今後どのような生活を送りたいかによって変わってきます。
有料老人ホームとの違い
老健と有料老人ホームの違いを、下の表でまとめました。
| 項目 | 介護老人保健施設(老健) | 有料老人ホーム |
|---|---|---|
| 目的 | 在宅復帰を目指す「中間施設」 | 長期的に安心して暮らす「生活の場」 |
| 入所条件 | 原則要介護1以上 | 自立から要介護の方まで幅広く対応 |
| 入所期間 | 概ね3〜6ヵ月など一時的 | 長期入所が可能 |
| 医療・リハビリ | 医師・リハビリ専門職が常勤し体制が充実 | 医療やリハビリ機能は施設による(老健ほど手厚くない場合が多い) |
| 生活支援 | 基本的な介護・生活援助を提供 | 食事・介護・生活支援を継続的に受けられる |
このように、老健は自宅に戻ることを前提とした一時利用が基本です。一方で、有料老人ホームは看取りに対応している施設も多く「ずっと暮らせる住まい」としての施設です。
長期的な利用を希望される場合は、有料老人ホームが有力な選択肢になるといえるでしょう。
※有料老人ホームについて、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→「 有料老人ホームとは? 種類や費用、手続きの流れを徹底解説! 」
施設選びのポイント|目的別のおすすめは?
どの施設が最適かは、ご本人の状態とご家族の希望によって異なります。
ケース1:まずはリハビリで在宅復帰を目指したい場合
退院直後で集中的なリハビリが必要な方や、いずれは在宅での生活に戻りたいと考えている場合は、老健が適しているといえるでしょう。まずは、老健で心身の機能回復を図り、その後の生活を改めて検討するという流れです。
ケース2:長期的に安心して暮らせる場所を探している場合
ご本人の状態やご家族の介護負担を考え「安心して暮らせる施設」を選択肢としてお考えの場合は、特養や有料老人ホームが主な候補となります。
ただし、比較的費用を抑えられる特養は待機者が非常に多く、すぐに入所できないケースも少なくありません。特養は待機が長期化しやすいため、並行して比較的早く入居できる有料老人ホームを検討・申込みしておくのが現実的です。
まとめ|ご家族に最適な施設を選ぶためには?
この記事では、介護老人保健施設(老健)の特徴や入所条件、費用、利用の流れ、他施設との違いや選び方のポイントを解説しました。
以下に、この記事のポイントをまとめました。
- 老健は、在宅復帰を目指すための中間施設で、入所期間は概ね3〜6ヵ月程度が目安です。
- 入所には、原則要介護1以上・病状が安定していることが条件です。
- 提供されるサービスは、リハビリ・医療的ケア・日常生活の支援が中心です。
- 費用は月額10〜21万円程度が目安です。
- 長期的な生活を望む場合は、特養や有料老人ホームを検討しましょう。
施設選びは、ご本人の体調やご家族の希望によって最適な選択肢は異なります。施設入所には、ある程度の日数が必要です。施設の相談員やケアマネジャーなどの専門職と相談しながら、早めに検討されることをお勧めします。
この記事が、大切なご家族のこれからの暮らしを考える際に、少しでも参考になれば幸いです。
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