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2026.01.20

在宅介護の入浴介助を徹底解説!手順・注意点・サービス活用まで

在宅介護の入浴介助を徹底解説!手順・注意点・サービス活用まで

「親の入浴介助、これで本当に大丈夫かな…」「転倒したり、ヒートショックが起きたりしたらどうしよう…」

ご家族の入浴について、そんな不安や疑問を感じていませんか?

高齢者の入浴は、体を清潔にするだけでなく、心身の健康に良い効果が期待できます。しかし、準備や手順、注意点を誤ってしまうと、ご本人の体調を悪化させたり、思わぬ事故につながったりする危険性も否定できません。

この記事では、在宅介護における入浴介助の基本的な流れ、入浴時に注意したい4つのことと予防策、そして負担を軽減するための介護サービスの活用法を分かりやすく解説します。ご家族の安全な入浴のために、ぜひ最後までお読みください。

在宅介護で入浴が大切な理由について

在宅介護において、入浴は身体をきれいにするためだけのものではありません。ご本人の健康維持や気分転換、そして体調チェックの機会としても、大切な意味があります。

この章では、入浴がなぜ「大切なケア」なのか、3つの役割についてご紹介します。

清潔保持と感染症の予防

入浴には、身体を清潔に保つという基本的な役割があります。汗や皮脂、細菌などを洗い流すことで、体臭の予防に加えて、皮膚トラブル(あせも・湿疹・床ずれなど)や感染症のリスクも軽減されるのです。

高齢になると、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥や刺激によってトラブルが起きやすくなります。そのため、定期的な入浴で皮膚を清潔に保ち、全身の状態をチェックすることは、皮膚トラブルを防ぐ上で大切なケアと言えるでしょう。

血行促進やリラックス

温かいお湯に浸かると、血管が広がり血行が促進されます。筋肉のこわばりがほぐれたり、関節の動きがスムーズになったりと、身体への良い影響が期待できます。

また、浮力によって体が軽く感じられるため、関節への負担が減り、リラックスできるのも大きなメリットです。自律神経のバランスも整いやすく、入浴後の心地よい疲れが「ぐっすり眠れるきっかけ」になることもあります。

健康状態を観察できる

入浴の時間には、ご本人の健康状態をじっくり観察できます。衣服を脱いだ状態だからこそ、普段は気づきにくい皮膚の異常にも目が届きやすくなります。たとえば、次のような変化は入浴中に見つかることが多いです。

  • 赤みやかゆみ
  • 小さな傷や擦り傷
  • 乾燥
  • 内出血やあざ
  • 床ずれ(褥瘡)の初期症状

こうした変化に早めに気づくことで、皮膚トラブルの悪化を防げます。また、入浴中の表情や会話、動作の様子から、「少し元気がないな」「今日は動きが鈍いかも」といった小さな変化を感じ取ることも可能です。

入浴介助の流れと注意点

ここでは「入浴前」「入浴中」「入浴後」に分けて、介助の流れと注意すべきポイントを紹介します。それでは順番に解説していきます。

①入浴前に行うこと

安全・快適に入浴してもらうためには、準備が大切です。環境・体調・ご本人の気持ちなど、丁寧に確認しておきましょう。

◯体調の確認

まずは以下の項目をチェックして、入浴できるかどうかを判断します。

  • 体温、血圧、脈拍などのバイタルサインが安定しているか
  • 顔色や表情に異常はないか
  • 食欲はあるか
  • 睡眠はとれているか
  • お風呂に入りたい気分か

※少しでも体調に不安がある場合は、無理をせず清拭などに切り替えることも大切です。
 

◯室温と浴室環境の準備

脱衣所と浴室に温度差があると、ヒートショックのリスクが高まります。

  • 冬場は、脱衣所・浴室を温める(22〜26度くらいが理想)
  • 床が濡れて滑りやすくなっていないか確認する
  • 換気をする際も、湯冷めに注意する
  • 浴槽の湯温は40度前後にする


◯物品の準備

手の届く場所に、以下のものを準備しておきましょう。

  • 着替え(肌着・普段着・パジャマなど)
  • バスタオル、フェイスタオル
  • 石けん、ボディソープ、シャンプー、洗身用タオルやスポンジ

また、必要に応じて、保湿剤やくし、爪切りなどの整容用品も準備しておきます。


◯水分補給と排泄の確認

入浴前にコップ一杯程度の水分補給を行い、脱水を予防します。トイレも事前に済ませておくと安心です。


◯声かけと説明

「これからお風呂に入りましょう」「お背中から流しますね」など、動作の前に声をかけることで、ご本人の不安が和らぎ、安心して入浴してもらえます。

高齢者とのコミュニケーションについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

→「 高齢者とのコミュニケーションは難しい?会話で気をつけること

【参考】東京都保健医療局「 乳幼児や高齢者の居住環境 」(P.78)

②入浴中の介助の流れ

ご本人のペースに合わせながら、入浴介助を行います。実際の流れに沿って、介助のポイントを押さえていきましょう。

◯脱衣場から浴室への移動

  • 脱衣は、室温が調整された脱衣所で行いましょう。
  • プライバシーに配慮し、体をバスタオルなどで覆いながら移動します。
  • 浴室への移動時は、滑りやすいため注意しましょう。
  • 手すりや歩行器、シャワーチェアなどを活用し転倒を予防します。

麻痺がある場合は、「脱健着患」(脱ぐときは健側から、着るときは患側から)が基本です。


◯かけ湯で体をお湯に慣らす

  • かけ湯の前に、温度を必ず手で確認し、ご本人にも「熱くないですか?」と声を掛けましょう。
  • シャワーチェアなどに座ってもらったら、心臓から遠い足元から順にゆっくりお湯をかけていきます。
  • 徐々に体の中心へお湯をかけることで、ヒートショック予防になります。


◯洗髪・洗顔

  • まずは洗髪から。シャンプーハットを使用したり、顔にお湯がかからないように配慮しながら、指の腹で優しく洗い、すすぎ残しがないようにしっかり流します。
  • 洗顔は、ぬるま湯でやさしく行いましょう。


◯洗身

  • 上半身(首・腕・胸・腹・背中)→ 下半身の順番が一般的です。
  • 石けんやボディソープはよく泡立てて、やわらかいタオルやスポンジでやさしく洗いましょう。
  • 関節の内側、しわやくぼみ、背中や足先なども丁寧に洗います。
  • 泡はしっかりと流しましょう。


◯浴槽への出入りと入浴時間のポイント

  • 体力や状態に合わせて、手すりや浴槽台、バスボードを使って安全に浴槽へ。
  • 出入りの際は、介助者がしっかり支えながら、無理のないペースで行いましょう。
  • 入浴時間は5〜10分程度を目安にします。


入浴中も次のような点に注意して、こまめに見守りと声かけを行います。

  • 顔色に変化がないか
  • 呼吸や動きに違和感はないか
  • 返事があるか、ぼんやりしていないか


以上が「入浴中の介助の流れ」です。

③入浴後に行うケア

入浴後は、湯冷めや体調の変化に注意しながら、手早くケアを進めていきます。

まずは体を拭きましょう。バスタオルでこすらず、押さえるようにやさしく水分を拭き取るのがポイントです。

特に水分が残りやすい部分は、丁寧に拭きましょう。

  • 皮膚のしわの間
  • 足の指の間
  • 膝裏や脇の下

続いて、着替えは湯冷めしないうちに手早く行います。肌の乾燥が気になるときは、保湿剤を使用しましょう。手足や背中など、乾燥しやすい部位を中心に塗布しながら、皮膚の異常がないか確認しておくと安心です。

入浴中は意外と汗をかくため、白湯や麦茶などでの水分補給も忘れずに行いましょう。その後は、椅子やベッドで少し休んでもらうと負担が和らぎます。

最後に、顔色や表情を見ながら体調の再確認を行いましょう。「少し疲れているかな?」「動きが鈍いかも?」といった、小さな変化にも気づける視点が大切です。

入浴時に注意したい4つのこと・予防策

入浴は、心と体に良い効果がある一方で、注意を怠ると事故や体調不良につながるリスクもあります。ここでは、特に注意しておきたい4つのポイントと、予防策を解説します。

転倒事故

浴室は床が濡れているため、滑りやすいです。転倒を防ぐために、以下の点を意識しましょう。

  • 浴室や脱衣所の床に滑り止めマットを敷く
  • 出入り口や浴槽付近に手すりを設置する
  • 浴槽が高い場合は、浴槽台で高さを調整する
  • 介助者は滑りにくい履物を履き、しっかり支えながら介助する

介助を行う際は、ご本人だけでなく介助者自身の事故にも注意が必要です。力を使ったり体を支えたりする場面では、介助者が転倒するリスクも高くなります。決して急がず、ゆっくり丁寧に進めましょう。

高齢者の転倒については、こちらの記事で詳しく解説しています。

→「 高齢者の転倒はなぜ起こる?原因と対策、万が一の対処法

ヒートショック

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧や脈拍が大きく変動し、心臓や脳に負担がかかる状態をいいます。特に高齢者や高血圧・心疾患のある方は、命に関わるリスクもあるため、十分な対策が必要です。

こうしたリスクを避けるために、以下のようなポイントに注意しましょう。

  • 脱衣所と浴室の温度差をなくす
  • 入浴前に足元からかけ湯をする
  • 湯温は40度前後のぬるめに設定し、急激な熱刺激を避ける
  • 入浴時間は5~10分を目安にして、長湯は避ける
  • 食後・飲酒後・体調が不安定なときの入浴は控える

安全に入浴するために、このような対策を日々のケアに取り入れていきましょう。

やけど・溺水

お湯の温度や入浴中の様子に気を配り、大切なご家族を、やけどや溺水などの事故から守りましょう。

  • シャワーや浴槽のお湯は、介助者が必ず先に確認する
  • ご本人にも「熱くないですか?」と声をかける
  • 入浴中は目を離さず、常に見守る
  • 湯量は深すぎないよう調整する

重大な事故を防ぐには、常に近くで見守ることが大切です。温度や湯量の調整など、目配りを欠かさないようにしましょう。

皮膚トラブルや体調不良

入浴による皮膚の乾燥や、体調不良にも注意が必要です。特に皮膚が弱い方は、洗身にも注意を払い、入浴後にケアを行うことが重要です。

  • 洗う時は、やわらかいタオルでやさしく洗う
  • 石けんやシャンプーはしっかりすすぎ、残さないように
  • 入浴後は保湿剤を塗る
  • 入浴後に異変を感じたら、すぐに休む

体調や皮膚の様子に合わせて、無理のない範囲で入浴することが大切です。不安な症状が見られる場合は、ためらわずに医療機関へ相談することも検討しましょう。

入浴介助で活用したい介護サービスや福祉用具

入浴介助では、ご家族が大きな負担を感じることもあります。無理なく安全に介助を続けるためには、専門家の支援や便利な福祉用具、制度を活用することが大切です。

介護スタッフによる支援

専門的な知識と技術を持った介護スタッフのサポートにより、安心して入浴できます。介護保険を利用すれば、以下のようなサービスを受けることが可能です。

  • 訪問介護
    ヘルパーがご自宅を訪問し、浴室での入浴介助を行います。
  • 訪問入浴介護
    専用の浴槽を持ち込んで、看護職員と介護職員が連携して入浴介助を行います。ベッドで過ごす時間が長い方でも、全身浴が可能です。
  • 通所介護(デイサービス)・通所リハビリテーション(デイケア)
    日帰りで施設に通い、入浴や食事、レクリエーションなどのサービスを受けられます。広い浴室や機械浴を利用できる施設もあります。
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
    短期間施設に宿泊し、入浴介助を受けられます。ご家族のレスパイト(介護負担軽減)にもつながります。

まずは、担当のケアマネジャーに相談しましょう。

介護サービスの種類については、こちらの記事で詳しく解説しています。

→「 介護にはどんな種類がある?高齢者に合わせた介護サービスを選択しよう

福祉用具の活用

ご家族の介護負担を軽減し、安全性を高めるためには、福祉用具の活用が有効です。主には、以下のようなものがあります。

  • シャワーチェア(入浴用イス)
    座面が広く安定しており、座ったまま洗身・洗髪できます。
  • 浴槽台・浴槽内イス
    浴槽への出入りを容易にしたり、浴槽内で座る高さを調整したりします。
  • バスボード(移乗台)
    浴槽の縁にかけて使用する板です。座ったまま、安全に浴槽をまたげます。
  • 浴室用手すり・滑り止めマット
    立ち上がりや移動時の転倒を予防します。
  • 入浴用介助ベルト
    介助者がご本人を支える際に使用。安定した移乗や移動をサポートします。

これらの用具は、介護保険を利用してレンタルまたは購入することが可能です。選定する際には、福祉用具専門相談員やケアマネジャーに相談しましょう。

住宅改修制度

安全に入浴するためには、浴室環境を整えることも重要です。介護保険には、手すり設置などの住宅改修に対して、費用の一部が支給される制度があります。

対象となる改修は、以下の通りです。

  • 浴室・脱衣所への手すりの設置
  • 滑りにくい床材への変更
  • 段差の解消、出入口の拡張など

住宅改修制度では、工事費の支給限度額は20万円です。1割負担の場合、保険給付の上限は18万円となります。

なお、制度の利用には市町村への事前申請が必要です。利用を検討される際には、早めにケアマネジャーに相談しておきましょう。

【参考】厚生労働省「 介護保険における住宅改修

まとめ

入浴は、体を清潔に保つ基本的な役割に加え、血行促進による身体機能の維持や、心身のリラックス効果など、多くのメリットがあります。また、ご本人の健康状態を観察する機会にもなります。

安全に入浴するためのポイントを、以下にまとめました。

  • 入浴前の準備:体調確認、室温や湯温の調整、物品の用意、水分補給と排泄の確認
  • 入浴中の介助:かけ湯、洗身、移動や浴槽の出入りの見守り・介助
  • 入浴後のケア:水分の拭き取り、着替え、保湿、水分補給と体調の再確認
  • 注意点:転倒、ヒートショック、やけど、皮膚トラブルに備える
  • 活用できる支援:訪問介護やデイサービス、福祉用具、住宅改修など

入浴介助に不安を感じたときは、ひとりで抱え込まず、ケアマネジャーや専門機関に相談してみましょう。きっと、ご本人やご家族が安心して入浴できる方法が見つかるはずです。

この記事の監修者
北村 昌枝
介護支援専門員

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