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高齢者の転倒はなぜ起こる?原因と対策、万が一の対処法
「高齢者の転倒ってどう予防すればいいの?」「転んでしまったらどう対応すれば…?」
このような不安や疑問はありませんか?
高齢者の転倒は、骨折や寝たきりの原因となり、生活の質を大きく下げてしまいます。しかし、適切な予防法を知り対処することで、転倒リスクを減らすことが可能です。
この記事では、高齢者の転倒について、原因から対策、万が一の際の対処法まで、詳しく解説します。
高齢者の転倒はこんなに多い!骨折から寝たきりになるリスク
高齢者の転倒は、多くの方が経験する身近な問題です。ここでは、高齢者の転倒について詳しく解説します。
年間を通じて高齢者の3人に1人が転倒している
高齢者の転倒は、年齢を重ねるごとに増加する傾向にあります。頻度についての調査では、65歳以上の高齢者の約3人に1人が、1年間に1回以上転倒していると報告されています。
高齢者の転倒は、加齢に伴う身体機能の低下が要因と考えられています。筋力やバランス能力の低下、視力の衰えなどが、転倒リスクを高めているのです。また、薬の副作用によるふらつきやめまいが転倒を引き起こすこともあります。
このように、高齢者の転倒は珍しいことではなく、身近に潜むリスクを認識することが大切です。
【参考】公益財団法人 長寿科学振興財団「地域づくりによる転倒予防─転倒頻度の地域格差から学ぶこと」
転倒が引き起こすリスク:寝たきりや認知症につながることも
高齢者の転倒は、単なるケガでは済まないことがあります。特に注意すべきなのは、骨折や認知症を引き起こす場合があることです。
ここでは、転倒が引き起こす深刻なリスクについて、詳しく見ていきましょう。
骨折と寝たきりの関係
高齢者が骨折すると、寝たきりの状態になってしまうことがあります。骨折した場合、手術が必要となるケースも多く、入院期間が1ヶ月以上になることも珍しくありません。
手術後もリハビリテーションが必要となるため、元の生活に戻るまでに、時間がかかってしまいます。その間、体を動かさないことによって、筋力の低下や関節の可動域が狭くなってしまう可能性があるのです。
認知症との関連性
認知症になると、注意力や判断力、身体のバランス感覚などが低下するため、転倒のリスクが高まります。実際にみられるのは、「自身の身体能力を過信してしまう」「段差や障害物に気づきにくくなる」などの症状です。
また、服用している薬の副作用によって、ふらつきや眠気が生じ、転倒リスクを高めることもあります。
認知症については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
↓
認知症とはどんな病気?原因・症状から必要なケアや予防法についても解説
高齢者の転倒を防ぐための3つの予防策
高齢者の転倒を予防するためには、大きく分けて3つの対策が重要です。具体的には、
- 自宅で転倒しやすい場所を把握する
- 適度な運動やバランスの良い食事を心がける
- 転倒しにくい環境を整える
これら3つの予防策について、詳しく見ていきましょう。
①場所別の対策:自宅で転倒しやすい場所を知る
転倒を防ぐためには、自宅内で転倒しやすい場所を知り、対策することが重要です。ここでは、注意すべき5つの場所と、それぞれの対策について説明します。
浴室
浴室は、床が水で濡れており滑りやすく、転倒事故が起こりやすい場所です。また、浴槽への出入りや、体を洗う際にもバランスを崩しやすい特徴があります。
対策として、床に滑り止めマットを敷くことが効果的です。浴槽の出入りや立ち座りの際に体を支えるための手すり設置も検討しましょう。また、シャワーチェアは座面が広く、高さを調整できます。安定した姿勢で体を洗えるので、転倒リスクを軽減できます。
また、入浴介助が必要な場合は無理をせず、ホームヘルパーなどの協力を得るようにしましょう。
寝室
寝室での転倒は、ベッドからの起き上がり時や、夜間トイレに行く際に発生することが多いです。特に、夜間は暗くて周囲が見えにくいため、注意しましょう。
夜間トイレに行く際の転倒を防ぐために、足元灯を設置し、安全に移動できるようにするのも有効です。ベッドの高さを調整し、立ち座りの動作を楽にすることも、転倒予防につながります。
玄関・勝手口
玄関や勝手口は段差が多く、転倒のリスクが高い場所です。靴を履く際にバランスを崩したり、段差につまづいたりすることがあります。
転倒を防ぐためには、手すりや段差解消の踏み台設置が有効です。また、履きやすい靴を選ぶことも重要です。
廊下・階段
廊下や階段では、転倒が多く発生します。特に、階段は踏み外しや転倒による事故が起こりやすく、大事故につながるため注意が必要です。
転倒を防ぐためには、手すりを設置したり、照明を明るくしたりすることが有効です。また、階段に滑り止めを設置することも効果的です。
庭・駐車スペース
庭や駐車スペースは、地面がデコボコしていたり、雨や雪で濡れて滑りやすくなっていたりすることがあります。また、段差や障害物がある場合も注意が必要です。
庭や駐車スペースでの転倒を防ぐためには、つまずきやすいものを撤去したり、滑りにくい素材で舗装したりすることが有効です。また、夜間はセンサーライトを設置するのも良いでしょう。
②日常生活でできる転倒予防
日常生活の中で、少し意識を変えるだけで、転倒のリスクを大きく減らすことが可能です。ここでは、日常生活で実践できる3つの予防策について説明します。
適度な運動・体操
転倒予防には、適度な運動や体操が効果的です。運動や体操は、筋力やバランス感覚を維持・向上させるだけでなく、柔軟性や持久力も高める効果があります。
ウォーキングやラジオ体操、水中ウォーキングなどの、体に過度な負担をかけない運動がおすすめです。また、自宅でできる体操として、片足ずつゆっくりと持ち上げたり、つま先立ちをしたりする運動などがあります。
大切なのは、毎日少しずつでも継続することです。楽しみながら行うことが、転倒予防につながります。
【参考】厚生労働省「はじめよう転倒予防!」
バランスの良い食事
高齢者の転倒予防には、バランスの良い食事が欠かせません。特に、骨や筋肉を強く保つために必要な栄養素を摂取することが重要です。
まず、骨を強くするカルシウムを多く含む食品を摂取しましょう。カルシウムは、乳製品や小魚、大豆製品などに多く含まれています。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンも重要です。ビタミンは、果物や野菜に多く含まれるほか、日光を浴びることでも体内で生成されます。そのため、適度な日光浴も心がけましょう。
筋肉の維持・増強に欠かせないタンパク質も、しっかり摂取する必要があります。肉類、魚類、卵など、さまざまな食品からバランス良く摂取することが大切です。
【参考】農林水産省「シニア世代の健康な生活をサポート 食事バランスガイド」
定期的な健康チェック
定期的な健康チェックは、転倒予防においても重要です。かかりつけ医での定期受診では、血圧や血糖値、骨密度などの検査を受けましょう。特に骨粗しょう症は骨折のリスクを高めるため、早期発見が重要です。
視力・聴力低下も転倒リスクを高めるため、眼科・耳鼻科の定期的な受診も大切です。服薬の副作用でふらつきが出る場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
③転倒しにくい環境を整える
自宅での転倒を防ぐためには、住環境を整え、歩きやすい履物を選ぶことが大切です。ここでは、自宅でできる転倒予防のポイントを説明します。
住環境の見直し(手すりの設置、段差解消など)
自宅内の段差や滑りやすい場所などを改善することで、転倒のリスクを大きく減らせます。具体的には、以下の3つです。
- 手すりの設置
- 段差の解消
- 部屋を整理整頓
手すりの設置は、転倒予防の基本です。廊下や階段、浴室、トイレなど、移動や立ち座りの際にバランスを崩しやすい場所に手すりを設置しましょう。
次に、段差の解消も重要です。小さな段差もつまずきの原因となるため、スロープや段差解消グッズを活用して、できるだけ平らにすることが重要です。
また、床が滑りやすい場合は、滑り止めマットを敷いたり、滑りにくい床材に変更したりすることも検討しましょう。
部屋を整理整頓し、床につまずきやすい物を置かないことも大切です。
転倒予防に効果的な履物の選び方
転倒予防には、履物の選び方も重要です。足元が安定しない履物は、バランスを崩しやすく、転倒のリスクを高めてしまいます。
靴の選び方のポイントは、以下の3つです。
- 滑りにくい素材の靴底
- かかとをしっかり固定できる靴
- スリッパやサンダルは避ける
靴底は滑りにくい素材のものを選びましょう。ゴム底や、溝がしっかり入ったものがおすすめです。靴底が薄いものや、滑りやすい素材のものは避けましょう。
かかとをしっかり固定できる靴を選ぶことも大切です。かかとが固定されていないと、足が靴の中で動きやすく、転倒のリスクが高まります。マジックテープなどでしっかり固定できる靴を選びましょう。
靴のサイズも重要です。大きすぎる靴は脱げやすく、小さすぎる靴は足の指を圧迫し、歩きにくくなります。足に合ったサイズの靴を選ぶようにしましょう。
スリッパやサンダルは、脱げやすく転倒のリスクが高いため、室内でも、かかとがあり、足にフィットする室内履きや、滑り止め付きの靴下を履くことをおすすめします。
福祉用具専門相談員に相談し、足の状態に合った靴をフィッティングしてもらうのも有効です。福祉用具専門相談員は、福祉用具事業所などに在籍しています。
万が一転倒してしまったら? 慌てないための応急処置と受診の判断
万が一、大切なご家族が転倒してしまった場合には、慌てずに対応しましょう。
転倒してしまったら、まず安静にしてもらいます。そして、意識の有無を確認しましょう。意識がない場合は、直ちに救急車(119番)を呼びます。
意識がある場合は、痛みや出血がないか、体の各部位を動かせるかを確認します。頭や首を強く打っている場合、または、骨折の疑いがある場合(強い痛みがある、動かせない、など)は、無理に動かさず、医療機関へ相談しましょう。
転倒直後は異常を感じなくても、後から症状が出ることもあります。しばらくは、体調の変化に注意することが大切です。
特に、転倒後に下記のような症状が見られた場合は、緊急対応の必要があります。
- 激しい痛みがあり、動かせない
- 頭を打った後、意識がもうろうとしている
- 出血が止まらない
- 呼吸が苦しい
- 吐き気や嘔吐が続く
高齢者の転倒は、骨折や頭部外傷などの深刻な怪我につながりやすいです。自己判断で済ませず、医師の診察を受けることをお勧めします。
まとめ:転倒を予防して健康寿命を延ばそう
この記事では、高齢者の転倒について、以下のことを詳しく解説しました。
- 高齢者の転倒の頻度とリスク
- 自宅でできる場所別の対策
- 日常生活で取り組める運動や食事
- 住環境の整備
- 万が一転倒した場合の対処法
転倒は健康寿命を縮める要因ですが、予防と対策によってリスクを減らし、健康で自立した生活を送ることが可能です。
今日からできることを実践し、健康寿命を延ばしましょう。
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