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レビー小体型認知症とは?主な症状と家族ができることを解説
「最近、家族の様子がおかしい」「誰もいないのに、人がいると言って不安がっている」
そんな変化に、どう対応したら良いか分からず、不安や戸惑いを感じていませんか? もしかしたらそれは、「レビー小体型認知症」のサインかもしれません。
レビー小体型認知症には、幻視や動きにくさといった特有の症状があります。もし、対応を間違えてしまうと、ご本人の混乱を深めてしまったり、転倒などの思わぬ事故につながったりする危険性も否定できません。
この記事では、レビー小体型認知症の症状を詳しく解説し、ご家族が安心して向き合うためのポイントを、分かりやすくお伝えします。ぜひ最後までお読みください。
レビー小体型認知症とは、どんな病気?
レビー小体型認知症は、脳の神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる特殊なたんぱく質の塊が出現する進行性の病気です。認知症の約10〜30%を占めるとされています。
レビー小体が神経細胞にダメージを与え、脳全体の働きが徐々に低下していきます。なぜレビー小体が脳内に蓄積するかは、まだ完全には解明されていません。年齢を重ねることが、発症リスクを高める要因と考えられています。
ゆっくりと進行していく病気であり、いくつかの特徴的な症状が現れることが知られています。次章では、レビー小体型認知症の症状について見ていきましょう。
【参考】独立行政法人 国立病院機構 宇多野病院「 レビー小体型認知症(DLB) 」
レビー小体型認知症の症状について
症状は、人によって現れ方や程度が異なります。代表的な症状として、以下のような特徴があります。
調子の波が大きい
レビー小体型認知症の特徴の一つは、頭の働き(認知機能)や意識レベルが、日や時間帯によって大きく変動することです。
「昨日はしっかり受け答えできていたのに、今日はボーっとして話が通じない」「午前中は元気だったのに、午後はぐったりしている」などのように、状態が変わることがあります。
頭がはっきりしている時と、注意力が散漫になったり、ぼんやりしたりする時の変動が大きいのが特徴です。
幻視・幻聴
実際にはないものが見える「幻視」も、レビー小体型認知症で多く見られる症状です。とてもリアルな内容を訴えます。
具体的には、以下のようなものです。
- 部屋の隅に知らない人が座っている
- 小さな子供が部屋を走り回っている
- 壁に虫がたくさんいる
ご本人には実際に見えているため、不安を感じていることも多いです。また「誰かが私の悪口を言っている」などの「幻聴」を伴うこともあります。
パーキンソン症状
パーキンソン病で見られるような症状が現れるのも、レビー小体型認知症の特徴です。
具体的には、以下のような動きにくさが見られます。
- 動作がゆっくりになり、時間がかかる
- 歩幅が小刻みになり、すり足のように歩く
- 手足の筋肉がこわばり、スムーズに動かしにくい
- バランスが悪くなり転倒しやすくなる
転倒リスクが高くなるため、特に注意が必要です。高齢者の転倒については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→「 高齢者の転倒はなぜ起こる?原因と対策、万が一の対処法 」
睡眠中に大声や激しい動き
眠っている時に、突然大声で叫んだり、手足を激しくバタつかせたりするような行動が見られることがあります。これは「レム睡眠行動障害(RBD)」と呼ばれる症状で、夢の内容に反応して、実際に体が動いてしまう状態です。
眠っている間に、ベッドから落ちて怪我をしてしまう危険もあります。また、無意識に隣で寝ている人にぶつかってしまう恐れもあるため、注意が必要です。
【参考】公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「 レビー小体型認知症 」
どうやって診断される? 相談先や治療について
ご家族にレビー小体型認知症の症状がみられた時、どこに相談し、どのように診断や治療が進められるのでしょうか。ここでは、概要を解説します。
心配な時はどこへ相談する?
まずは、かかりつけ医に相談するか、認知症の専門医がいる医療機関を受診しましょう。具体的には、「もの忘れ外来」や「神経内科」などが挙げられます。レビー小体型認知症は進行性の病気であり、早期に相談することが大切です。
検査や診断の流れ
専門医がお話を伺い、ご本人の様子を観察した上で、問診や認知機能検査が行われます。脳の状態や血流をチェックするために実施されるのが、MRIやCTです。また、MIBG心筋シンチグラフィという心臓の検査が、診断の手がかりになることもあります。
【参考】国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「 レビー小体型認知症の検査 」
治療方法
残念ながら、現在のところレビー小体型認知症を根本的に治す治療法はありません。しかし、服薬で症状を和らげたり、リハビリテーションを行い進行を緩やかにしたりすることで、ご本人やご家族の負担を減らせます。
服薬で症状を和らげる
レビー小体型認知症の症状を和らげるために、薬が用いられることがあります。例えば、認知機能の変動や意欲低下に対して、アルツハイマー型認知症の薬が効果を示すことも少なくありません。
また、幻視などの精神症状が強い場合には、和らげる薬が使われます。しかし、レビー小体型認知症の方は、薬に過敏に反応することがあるため、副作用に注意しながら投与されます。薬による治療は、必ず医師の指示通りに行い、自己判断で量を変えたり中断したりしないことが重要です。
【参考】公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「 レビー小体型認知症 」
リハビリテーション
リハビリテーションも大切なアプローチです。理学療法では、筋力やバランス能力を維持・改善して転倒を予防します。また、食事や着替えといった日常生活動作の練習や、暮らしやすい環境へのアドバイスを行うのが作業療法です。
話したり飲み込んだりすることが難しくなった場合には、言語聴覚療法による訓練が行われます。リハビリテーションは、身体機能の維持だけでなく、ご本人の意欲を高め、気分を安定させることも期待されるのです。
穏やかに過ごすためにご家族ができること
レビー小体型認知症の方が穏やかに過ごすためには、ご家族の理解と適切な対応が必要です。ここでは、対応のポイントをご紹介します。
病気を理解しご本人のペースに寄り添う
何よりも大切なのは、ご家族の変化は「病気の症状」なのだと理解することです。日によって状態が違うこと、幻視は本人には実際に見えていることを知っておくだけで、冷静に対応できます。
ご本人のペースを尊重し、焦らせたり責めたりしないように心がけましょう。「大丈夫だよ」「ゆっくりでいいよ」といった安心感を与える言葉かけが、ご本人の心を穏やかにします。
認知症の方への対応については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→「 認知症の家族への対応方法は?穏やかに過ごすためのコツを解説 」
症状別に解説!具体的な対応のコツ
ここでは、症状別に対応方法を紹介します。
幻視を訴える時:肯定も否定もせず、共感する
幻視の症状に対して、頭ごなしに否定するのは逆効果です。ご本人には実際に見えているため、否定されると混乱してしまう可能性があります。しかし、全面的に肯定して話を合わせる必要もありません。
大切なのは、ご本人の感情に寄り添うことです。「そう見えるのね」「それは怖いね」などと共感し、安心させてあげましょう。ご家族の対応が、安心感や落ち着きにつながることもあります。
ボーっとしている時:少し待つ、穏やかに繰り返す
調子の波により、話しかけても反応が鈍いことがあります。そんな時は、焦らず少し待ってみましょう。
急かしたり、大きな声を出したりするのは避け、穏やかな口調で話しかけてみてください。調子の良さそうな時間帯を見計らって、大切な話をするのも効果的です。
動きにくい時:転ばないように声かけや手助け
パーキンソン症状により、特に動き出しがゆっくりになることがあります。そんな時に、急かすのは禁物です。
焦ると、余計に体が動かなくなり、転倒のリスクも高まります。「ゆっくりで大丈夫だよ」「慌てなくていいよ」と声をかけ、見守ります。必要であれば、さりげなく手を貸したり、体を支えたりするのも良いでしょう。
安心できる環境づくり
ご本人が安心して過ごせる環境づくりも大切です。まずは、転倒防止のための環境を整えましょう。パーキンソン症状などにより転びやすいため、手すりを設置したり、部屋の段差をなくしたり工夫します。また、滑りにくい敷物や履物を選び、足元を照らすセンサー照明をつけるのも有効です。
幻視の対策も考えましょう。部屋が散らかっていると、幻視を誘発しやすくなります。できるだけ、整理整頓を心がけましょう。また、ハンガーに洋服を掛けていると、人影に見えてしまうこともあるので、視界に入らないようにクローゼットなどに収納します。
【参考】独立行政法人 国立病院機構 菊池病院「 レビー小体型認知症 ケアのポイント 」
介護者自身のケアも重要
介護者には、大きな負担がかかります。しかし、決してひとりで抱え込んではいけません。大変さや悩みを、他のご家族や友人、専門職に話してみましょう。
時には、介護保険サービスを利用して休息をとることも大切です。自分の趣味の時間を持ったり、ゆっくり休んだりすることで、気持ちに余裕が生まれ、また穏やかな気持ちでご本人と向き合えるようになります。
それでも、在宅での介護が難しくなったと感じる場合には、介護施設への入所も、ご本人とご家族にとって大切な選択肢の一つです。専門的なケアを受けられる環境で、穏やかに生活を送れることも考えられます。こうした可能性についても、ケアマネジャーや施設の相談員に相談してみましょう。
まとめ
この記事では、レビー小体型認知症について、症状や対応方法について解説しました。今回のポイントを、4つにまとめます。
- 幻視・調子の波・パーキンソン症状が特徴の病気
- 症状を病気と理解し、本人のペースや気持ちに寄り添うことが大切
- 幻視への共感や転倒防止の環境整備などの対応が、穏やかな生活につながる
- 介護者自身もひとりで抱え込まず、介護保険サービスや相談窓口を活用する
大切なのは、ひとりで悩みを抱え込まないことです。医療機関や地域のサポート、介護保険サービスなどを活用し、ご本人やご家族の状況に合わせて、周囲と協力しながら支えていきましょう。状況によっては、施設入所を検討するのも選択肢の一つです。
この記事を参考に、レビー小体型認知症への理解を深めていただければ幸いです。
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