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介護の種類
2026.02.23

介護保険で福祉用具を上手に活用!選び方と相談のポイントを解説

介護保険で福祉用具を上手に活用!選び方と相談のポイントを解説

「毎日の介護が、もう少し楽にならないかな…」「安全に移動できる範囲がもっと広がればいいのに…」

ご家族の介護で、そんなふうに感じている方もおられるかもしれません。

福祉用具は、高齢者や障がいのある方の生活を支え、自立を促し、介護するご家族の負担も軽くしてくれる心強い存在です。

しかし、福祉用具の種類は多く、使用方法や介護保険制度の活用など、専門家によるサポートが必要な部分もあります。さらに、2024年からは一部の福祉用具で「レンタルか購入か」を選べる選択制が導入され、より慎重な情報整理と判断が求められるようになりました。

この記事では、福祉用具の基本や介護保険を活用するポイント、相談先などを解説しています。ご家族に最適な福祉用具を選ぶために、最後までお読みください。

介護福祉用具とは?基礎知識と役割

日々の介護で「もっと楽にできたらいいのに」「本人がもう少し自分で動けたら」と感じたことはありませんか?

そんなとき、介護福祉用具が有効です。ここでは、介護福祉用具の基本的な知識や役割について解説します。

福祉用具の定義・目的

福祉用具とは、加齢や障がいにより、日常生活に支援が必要な方のための道具です。大きく分けて、以下2つの目的があります。

① 自立支援

ご本人が「自分でできること」を増やし、できる限り自立した生活を続けられるようにサポートします。リハビリテーションの場面でも有効です。

② 介護者の負担軽減

介護者の身体的・精神的な負担を軽くします。

福祉用具は「便利な道具」というだけでなく、ご本人の尊厳を守り、QOL(生活の質)を高めるための存在といえるでしょう。

【参考】厚生労働省「 介護保険における福祉用具

福祉用具のメリット

ここでは、福祉用具のメリットを紹介します。

「自分でできること」が増える!自立支援と生活の質向上

福祉用具を活用することで、立ち上がりや歩行、トイレの利用など、おひとりでは難しかった動作が自分でできるようになることがあります。

そうした成功体験の積み重ねは、自信の回復につながり、ご本人の「その人らしさ」を保つことにもなります。結果として、生活の質(QOL)の向上にもつながるのです。

介護者の負担軽減

日々の介護では、介護者に大きな負担がかかります。特に移動、排泄、入浴といった介助は、身体への負荷が大きいものです。

こうした場面で福祉用具を活用すれば、無理な姿勢での介助が減り、腰や関節への負担が軽くなります。介護者自身の体調や気持ちにも余裕が生まれ、よりよい関係性を保つことにつながります。

転倒予防など安全な住まい環境づくり

高齢になると、ちょっとした段差でも転倒のリスクが高くなります。手すりやスロープ、滑り止めマットなどの福祉用具を導入することで、転倒リスクを減らし、生活動線を安全に整えることが可能です。

安心して動ける範囲が広がると、本人の活動量が増え、ADL(日常生活動作)の維持につながります。また「常に見守っていなければ」と感じていたご家族の精神的な負担も軽減され、お互いにとって心にゆとりが生まれるきっかけとなるでしょう。

高齢者の転倒については、こちらの記事で詳しく解説しています。

→「 高齢者の転倒はなぜ起こる?原因と対策、万が一の対処法

介護用品との違い

「福祉用具」と「介護用品」は似ているようで、使用目的に違いがあります。

福祉用具は、自宅での安全な生活や自立支援を目的とした道具で、車いす・介護ベッド・手すり・スロープなどです。一方、介護用品は紙おむつ・おしりふき・防水シーツなど、日常の介護を支える消耗品が中心です。

「福祉用具=できることを増やす道具」、「介護用品=介護の場を支える道具」と理解しておくとよいでしょう。

介護保険を上手に活用するポイント

介護保険を使うと、費用を抑えて福祉用具を利用できます。ここでは、介護保険で使える用具の種類や、費用負担のしくみ、2024年からスタートした制度について解説します。

介護保険で使える福祉用具

介護保険サービスを利用するには、まず要介護認定を受け、ケアマネジャーと相談してケアプランを作成します。

そして、福祉用具などの必要なサービスが提供されます。その利用方法として、レンタル(福祉用具貸与)や購入(特定福祉用具販売)があり、それぞれ介護保険の対象です。

介護保険の申請については、こちらの記事で詳しく解説しています。

→「 初めての介護保険申請ガイド:手続きから利用開始までの流れ

【レンタル】福祉用具貸与の仕組みと対象になる用具

高額なものや、調整が必要になりやすい福祉用具は、レンタルでの利用が適しています。レンタルなら、事業者による定期的なメンテナンスや、必要に応じた用具の交換にも柔軟に対応してもらえるため安心です。

◯仕組み

指定事業者が、福祉用具を貸し出します。利用者は、費用の1割(所得に応じて2割または3割)を負担します。

◯対象となる主な用具は、以下のとおりです。

  • 介護ベッド、マットレスやサイドレールなど※
  • 床ずれ防止用具※
  • 体位変換器※
  • 手すり(工事を伴わないもの)
  • スロープ(工事を伴わないもの)
  • 車いす、車いす付属品※
  • 歩行器
  • 歩行補助杖
  • 移動用リフト※
  • 徘徊感知機器※
  • 自動排泄処理装置(要介護4・5の方のみ対象)

※印の用具については、要介護2以上の方が対象です。

◯利用の流れ

  • ケアマネジャーに相談し、必要な用具を検討
  • 事業者の選定
  • 福祉用具専門相談員が自宅訪問・ヒアリングを行う
  • 用具選定と利用計画の作成
  • 契約後に納品・使用説明
  • 定期的なモニタリング(使用状況やメンテナンスの確認)

【参考】厚生労働省「 どんなサービスがあるの? - 福祉用具貸与

【購入】特定福祉用具販売の仕組みと購入できる用具

衛生面の配慮や使用感の問題から、レンタルに適さない用具は「特定福祉用具販売」として購入できます。

◯仕組み

指定事業者から購入した場合、年間10万円を上限に購入費の9割(所得に応じて8割または7割)が介護保険から支給されます。原則は「償還払い(いったん全額支払って後日払い戻し)」です。

◯対象となる主な用具

  • 腰掛便座(ポータブルトイレ)
  • 自動排泄処理装置の交換部品(レシーバー・チューブなど)
  • 排泄予測支援機器
  • 入浴補助用具(浴槽用手すり、入浴椅子、入浴台など)
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具部分


◯購入・申請の流れ

  • ケアマネジャーと相談して対象用具を決定
  • 指定事業者から購入
  • 市区町村窓口へ必要書類を提出(申請書・領収書・商品パンフレットなど)

【参考】厚生労働省「 どんなサービスがあるの? - 特定福祉用具販売

【2024年新制度】レンタル?購入?「選択制」がスタート!

2024年4月から、一部の福祉用具で「レンタルか購入か」を選べる制度が始まりました。これまでレンタル一択だった用具でも、利用する方の状態や使用期間に応じて購入できるようになったのです。

◯選択制の対象となる種目

  • 固定用スロープ(敷居など小さい段差解消のためのもの)
  • 歩行器(車輪・キャスターが付いている歩行車を除く)
  • 多点つえなど


◯選び方のコツ

  • 長期間使う予定なら購入も選択肢に:利用期間が長くなると、トータル費用は、購入のほうが安くなることもあります。
  • 状態の変化がありそうならレンタルが安心:身体状況や生活環境が変わったとき、レンタルなら別の用具へ交換できます。
  • メンテナンスや修理にも注目:レンタルでは多くの場合、事業者がメンテナンスや修理に対応してくれます。購入の場合は、こうした対応が自己負担になることもあるため注意が必要です。

購入かレンタルか迷った場合には、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と相談して、ご家族に合った方法を選ぶことが大切です。

【参考】厚生労働省「 選択制の対象とする種目に関する解釈

後悔しない!福祉用具選びのコツと相談先

ここでは、福祉用具を選ぶためのポイントと相談先について解説します。

専門家に相談しよう

福祉用具を選ぶ際は、まず専門家に相談しましょう。身体の状態や住環境は人それぞれ異なります。専門的な視点からアドバイスを受けることで、ミスマッチを防ぎやすくなります。

まずはケアマネジャーに相談するのがよいでしょう。ご本人の身体状況や生活全体の困りごとを把握しているので、必要な福祉用具の導入をサポートしてくれます。もし、ケアマネジャーが決定していない場合には、地域包括支援センターへ相談しましょう。介護の相談窓口として対応してくれます。

また、福祉用具専門相談員は、福祉用具のプロフェッショナルです。身体状況や環境に合った用具を提案してくれます。使い方の説明や定期的な点検なども担当します。

福祉用具選びの3つの重要ポイント

福祉用具を選ぶときは、専門家のアドバイスを受けながら、以下の3つの視点を意識して選ぶことが大切です。

身体状況と住環境に合った用具を選ぶ

本人の筋力や関節の動き、バランス感覚や認知機能など、身体の状態に合った福祉用具を選びましょう。サイズや操作方法が合っていないと、かえって危険です。

住まいの環境も確認しましょう。寝室や浴室、トイレなど、実際に使う場所の広さや段差の有無などをチェックし、安全に使えるかを確かめます。例えば、車いすが家の廊下をスムーズに通れるかどうかなどのサイズ確認も大切なポイントです。

介護する家族の負担も軽くなるか確認しよう

福祉用具は、ご本人だけでなく、介護をするご家族にとっても重要です。「操作が簡単か」「介助がしやすいか」を確認しましょう。

例えば、以下のような点です。

  • 操作が直感的にできるか
  • 動作が安全でスムーズか
  • 清掃やメンテナンスはしやすいか

ご本人とご家族が一緒に福祉用具を選ぶことで、納得のいく選択ができ、満足度も高まります。

デモ機やショールームを活用する

カタログの情報だけでは、実際の使い心地までは分かりにくいものです。できるだけ、デモ機を借りたり、ショールームで実物を試したりする機会を持つことをお勧めします。

事業者の中には、一定期間「お試し用」として無料レンタルを提供しているところもあります。自宅で実際に使用し、動作や使い勝手を確認することが可能です。

また、ショールームでは専門の相談員からアドバイスを受けられるため、複数の用具を比較しながら、ご本人に合ったものを選べます。

福祉用具の疑問をスッキリ解消!よくある質問(Q&A)

ここでは、福祉用具に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。

Q1. レンタルと購入、どっちがお得?

A1.一概にどちらがお得とは言えません。利用する福祉用具の種類、利用期間、身体状況の変化の可能性などを総合的に考慮する必要があります。

◯レンタルのポイント

  • 1割負担(※)で利用できる
  • 状態の変化に応じて交換できる
  • メンテナンスや修理を事業者が対応してくれる(ほとんどは無料対応)

※所得により2〜3割負担になる場合もあります。

◯購入のポイント

  • 長期使用ならレンタルより費用が抑えられる場合がある
  • ただし、買い替えや状態変化への対応が難しい
  • メンテナンスに必要な費用は自己負担

2024年からは、一部の福祉用具でレンタル・購入の「選択制」が始まりました。費用や使いやすさを比較しながら、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談して選ぶのが安心です。

Q2. 介護度が低いと、使える福祉用具は限られる?

A2. はい、一部の福祉用具(車いす、介護ベッドなど)は、原則として要介護2以上の方が介護保険によるレンタル対象です。

ただし、要支援1・2や要介護1の方でも、医師の意見書やケアプランで必要性が認められた場合には、「例外給付」として介護保険を使って利用できるケースもあります。

また、介護保険の対象外となる場合でも、全額自己負担で自費レンタルをすることは可能です。たとえば、要支援の方が介護ベッドなどを導入したいときや、支給限度額を超えて追加の用具を使いたい場合などに、自費でのレンタルが選ばれています。

自費レンタルは費用負担が大きくなるため、ケアマネジャーに相談しながら検討するのが安心です。

Q3. もし福祉用具が合わなかったら…交換や変更はできる?

A3. 対応方法は、レンタルか購入か、また契約の内容によって異なります。

レンタルの場合は、実際に使ってみて「体に合わない」「使いにくい」と感じたときには、柔軟に対応してもらえます。福祉用具専門相談員に相談すれば、身体状況の変化に応じて別の機種に交換したり、用具の種類を変更したりすることが可能です。

一方、購入した場合には、基本的に返品や交換は難しいです。だからこそ、購入前に試用したり、専門家に相談したりして、慎重に選ぶことが求められます。

いずれにしても、実際に使い始めて違和感や不安を感じたら、できるだけ早めにケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談しましょう。

まとめ:最適な福祉用具で、安心と自立のある毎日を

この記事では、介護福祉用具の基本から、介護保険制度の活用法、選び方のポイント、よくある疑問までを解説しました。

今回のポイントを、以下の4つにまとめます。

  • 介護福祉用具は、自立支援とQOL(生活の質)向上を支えます。
  • 福祉用具にはレンタルと購入があり、介護保険を活用できます。
  • 2024年からは、一部の用具でレンタルと購入の「選択制」がスタートしました。
  • 専門家のサポートを受けながら、身体状況や住環境に合った用具を選ぶことが大切です。

福祉用具は、ご本人の「できること」を増やし、ご家族の負担を軽減してくれます。ただし、種類も多く、使い心地や効果は人によって異なります。

デモ機を借りたり、ショールームで実物を試したりして、ご本人に合うものを見極めることが大切です。迷ったときは、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談してみましょう。

この記事が、福祉用具についての理解を深めるきっかけとなり、ご本人やご家族にとって最適な福祉用具を選ぶ際の参考になれば嬉しく思います。

この記事の監修者
北村 昌枝
介護支援専門員

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