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高齢者の誤嚥性肺炎の症状とは?原因や対応、予防法を解説
「最近、家族が食事中によくむせる…」「家族が誤嚥性肺炎になったらどうすればいい?」
このように悩んでおられるかもしれません。
高齢者の誤嚥性肺炎は、早期の発見と対応が重要です。しかし、初期症状は風邪と似ているため、見逃してしまうことも少なくありません。
この記事では、高齢者の誤嚥性肺炎について、症状や原因、予防法を解説します。大切なご家族の健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。
高齢者の誤嚥性肺炎、症状と注意すべきポイント
誤嚥(ごえん)とは、食べ物や唾液などが、本来通るべき食道ではなく、気管に入ってしまうことです。健康な人であれば、むせることで異物を体外に排出できますが、高齢になると、この機能が低下します。
その結果、食べ物や唾液と一緒に口の中の細菌が肺に入り込み、炎症を引き起こすことがあります。これが「誤嚥性肺炎」です。
ここでは、高齢者の誤嚥性肺炎の症状、注意点、リスクについて解説します。
見逃しやすい!誤嚥性肺炎の初期症状
高齢者の誤嚥性肺炎は、初期症状が風邪と似ているため、見逃されやすい特徴があります。また、高齢になると咳や微熱などの症状が出にくいこともあるので、注意が必要です。
誤嚥性肺炎の症状は、以下のとおりです。
- 長引く咳
- 微熱
- 喉の違和感
- 食欲不振
- 元気のなさ
などの症状が現れます。
特に、食事中にむせたり、咳が続いたりする場合は、食べ物や飲み物が気管に入ってしまう「誤嚥」が起きている可能性があります。初期症状を見逃さず、早期に発見することが重要です。
誤嚥性肺炎によるリスクと注意点
肺炎は、令和4年における日本人の主要な死因の第6位でした。65歳以上の高齢者が肺炎で死亡する多くの原因は「誤嚥性肺炎」とされています。
高齢者の肺炎は、長引きやすく再発しやすいのが特徴です。肺炎が進行すると、呼吸困難を引き起こすことがあります。また、重篤な感染症を引き起こし、入院が必要となる場合も少なくありません。
【参考】国立大学法人 浜松医科大学「 誤嚥性肺炎で入院した高齢者について 」
誤嚥性肺炎が疑われる場合の対処法
食事中にむせたり、咳き込んだりした場合は、すぐに食事を中断しましょう。可能であれば、本人が楽な姿勢(前かがみなど)をとり、本人が咳をしやすいように促します。焦らず、深呼吸を促し、症状が落ち着くまで様子を見ましょう。
また、就寝中に唾液が気管に入り、気づかないうちに誤嚥性肺炎を発症するリスクもあるため、注意が必要です。
呼吸が苦しそう、肩で息をしている、顔色が悪いなどの症状が見られる場合は、緊急性が高い可能性があります。
誤嚥性肺炎の4つの原因について
高齢者の誤嚥性肺炎は、さまざまな要因が絡み合って発症します。ここでは、主な4つの原因について解説します。
①嚥下(えんげ)障害
嚥下とは、食べ物や唾液を口から胃へと送る一連の動作のことです。この機能が低下した状態を、嚥下障害と呼びます。飲み込みの動作が上手くいかないと、飲食物が誤って気管に入り、「誤嚥」を引き起こすことがあるのです。
嚥下障害の原因はさまざまですが、加齢による筋力低下や、脳卒中、アルツハイマー型認知症などの病気が影響しています。
②せき反射(咳反射)の衰え
せき反射とは、気道に異物(食べ物や唾液など)が入ったときに、排出しようと体が無意識に咳をする反応のことです。しかし、高齢になると、せき反射の機能が低下してしまいます。
せき反射が弱まると、誤嚥してしまった異物をうまく排出できなくなります。その結果、異物が肺に留まり、細菌が繁殖して炎症を引き起こし、誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まるのです。
③体力の低下
ここでいう体力とは、免疫力も含めた総合的な「体の力」のことです。体力や免疫力が低下すると、感染症に対する抵抗力が弱まり、肺炎を発症しやすくなります。
体力低下は、嚥下機能や咳反射の低下とも関連しています。食べ物を飲み込む力や、異物を排出する力が弱まることで、誤嚥のリスクが高まり、誤嚥性肺炎につながりやすくなるのです。
④口腔の環境
口腔内にはさまざまな細菌が存在しています。歯磨きが不十分で食べかすが口の中に残っていると、細菌が繁殖しやすくなり、誤嚥によって細菌が肺に入り込んでしまうリスクが高まるのです。
また、高齢になると、歯周病や義歯の不具合などにより、口腔内の衛生状態が悪化しやすくなります。唾液の分泌量も減少するため、口の中が乾燥しがちになり、細菌が繁殖しやすくなるので注意が必要です。
【参考】厚生労働省 e‐ヘルスネット「 誤嚥性肺炎 」、NHK「 誤えん性肺炎はなぜ起こる?原因や症状、予防法について 」
診断や治療法について
誤嚥性肺炎が疑われる場合、適切な診断と治療が必要です。ここでは、病院での診断方法、治療法について解説します。
病院での誤嚥性肺炎の診断
誤嚥性肺炎が疑われる場合、一般的に以下の検査が行われます。
- 胸部エックス線検査
- 胸部CT検査
- 血液検査
誤嚥したことが明らかであったり、飲み込む力が弱っていると確認されたりしている場合には、胸部エックス線や胸部CT検査で肺の画像を確認します。
血液検査で確認するのは、白血球数の増加や炎症反応の有無です。これらの所見も、誤嚥性肺炎の診断の重要な手がかりとなります。
病院での治療や嚥下(えんげ)指導
治療の中心となるのは、抗菌薬(抗生物質)の投与です。状態が安定しない場合には、入院して治療を継続することも少なくありません。
また、再発予防のために、嚥下機能の評価やリハビリテーション、口腔ケアの指導などが行われることもあります。
【参考】兵庫医科大学病院「 誤嚥性肺炎について 」
実践しよう!高齢者の誤嚥性肺炎の予防と対策
誤嚥性肺炎は、日々の生活の中で予防と対策を実践することが重要です。ここでは、ご自宅で実践できる、3つのポイントをご紹介します。
口腔ケアで口の中を清潔に
誤嚥性肺炎の予防には、口腔ケアが有効です。口の中を清潔に保つことで細菌の数を減らせるため、発症リスクを大幅に下げられます。
毎食後と就寝前の歯磨きを徹底しましょう。義歯を使用している場合には、専用の洗浄剤を使って清潔に保つことが大切です。
また、口腔内の乾燥を防ぐことも重要です。口の中が乾燥すると、細菌が繁殖しやすくなります。こまめな水分補給を心がけましょう。
口腔体操で嚥下機能を維持・向上させる
嚥下機能の維持・向上は、誤嚥性肺炎の予防に欠かせません。ここでは、自宅で簡単にできるトレーニング方法を紹介します。
①準備運動
まずは、深呼吸をしましょう。全身の力を抜いてリラックスします。鼻から大きく息を吸い、一度止めます。口から、ゆっくりと息を吐きましょう。
以上を、3回繰り返します。また、肩の上げ下げや、首をゆっくり回すのも準備運動に有効です。
②口・頬のトレーニング
次に、口のトレーニングです。唇を思い切り横に引いて、「イー」と発音します。次に、唇を思い切りすぼめて「ウー」と発音しましょう。
以上を10回繰り返します。
次は、頬のトレーニングです。まず、「あっぷっぷー」のように、頬を思い切り膨らませます。そして、頬にくぼみができるくらい強く吸い込みましょう。
以上を5回、繰り返します。
③舌のトレーニング
最後は、舌のトレーニングです。口を開けたまま、舌をできるだけ突き出します。口を開けたまま、今度は舌をできるだけ引っ込めましょう。
以上を10回繰り返します。
④耳の下マッサージ
耳たぶの下に、耳下腺という「くぼみ」があります。その部分を、指3本で優しく押してください。唾液の分泌が促進されます。
【参考】東京都福祉保健局「 口腔機能の維持・向上 」
正しい姿勢で食べる
食事は、正しい姿勢を意識することが大切です。背筋を伸ばし、顎を軽く引いた状態を保つことで、飲食物がスムーズに食道へ流れやすくなります。また、一口の量を控えめにし、時間をかけて食べることも重要です。
もし食事中にむせたり、喉に違和感があったりした場合は、まず落ち着いて「空嚥下(からえんげ)」を試してください。これは、口の中に食べ物がない状態で、唾液だけを飲み込む動作です。
また、飲み込む力が弱まっている高齢者の方には、とろみのある食事がおすすめです。あんかけのように、食材をなめらかにすることで、誤嚥のリスクを減らせます。
食材にとろみをつける際は、片栗粉や市販のとろみ剤などを活用すると良いでしょう。
まとめ
高齢者の誤嚥性肺炎は、早期発見・治療、そして日頃からの予防が大切です。この記事のポイントを、以下にまとめます。
- 症状: 咳や発熱など、風邪と似た初期症状で見逃しやすい
- 対処法: 状態に応じて、医療機関の受診を
- リスク: 重症化すると呼吸困難などにつながる可能性も
- 原因: 嚥下障害、せき反射の衰え、体力低下など
- 治療: 病院で検査を受け、抗菌薬投与が中心
- 予防: 口腔ケア、嚥下トレーニング、姿勢の改善
高齢者の誤嚥性肺炎は、身近な病気です。この記事を参考に、誤嚥性肺炎への理解を深め、大切なご家族の健康を守りましょう。
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