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要介護につながる病気と症状
2025.08.20

高齢者のサルコペニアとは?予防と対策で健康寿命を延ばそう

高齢者のサルコペニアとは?予防と対策で健康寿命を延ばそう

「最近、親の歩く速度が遅くなった…」「階段の上り下りや、立ち座りがつらそう…」

大切なご家族の、このような変化に気づいていませんか?

もしかしたら、それは「サルコペニア」の初期症状かもしれません。

サルコペニアとは、加齢によって筋肉量と筋力が低下し、身体機能が衰える状態のことです。放置すると、転倒・骨折のリスクが高まり、寝たきりや要介護状態につながる可能性もあります。しかし、サルコペニアは、早期発見と適切な対策で予防・改善が可能です。

この記事では、サルコペニアの症状や原因、ご自宅でできる簡単セルフチェック方法について解説します。今日から実践できる予防と対策についても紹介します。

大切なご家族様に「いつまでも元気でいてほしい」と願う方は、ぜひ最後までお読みください。

サルコペニアとは:加齢とともに筋肉が減少する状態

サルコペニアとは、加齢に伴い、筋肉量と筋力が低下する状態を指します。年齢を重ねると誰にでも起こりうる変化ですが、健康寿命を縮め、生活の質(QOL)を低下させる要因となるため、注意が必要です。

サルコペニアで筋肉が衰えると、転倒しやすくなる、疲れやすくなるだけでなく、介護が必要になるリスクも高まります。しかし、早期発見と適切な対策で、予防・改善することも可能です。

症状について

サルコペニアの症状は、日常生活の中で徐々に現れるため、見過ごされがちです。しかし、早期発見のためには、小さな変化に気づくことが大切です。

  • ペットボトルの蓋が開けにくい
  • タオルが絞りにくい
  • 歩くのが遅くなった
  • つまずき・よろけることが増えた
  • 椅子や床から立ち上がりにくい、時間がかかる

これらの症状は、サルコペニアの初期〜中期に見られるサインです。放置すると、歩行困難や転倒・骨折、さらには寝たきりにつながる可能性もあります。「歳のせい」と諦めず、早めに対策を始めましょう。

【参考】厚生労働省 e-ヘルスネット「 サルコペニア

原因について

サルコペニアの原因は、加齢だけではありません。大きく分けて「一次性サルコペニア」と「二次性サルコペニア」の2つがあります。

一次性サルコペニアは、加齢が原因です。年齢とともに筋肉を作る働きが弱まり、筋肉が分解されやすくなります。

一方、二次性サルコペニアは、加齢以外の要因が関係しています。主な原因は、以下のとおりです。

  • 運動不足
  • 栄養不足(タンパク質やビタミンなど)
  • 特定の疾患や薬の副作用、過度なダイエットなど

多くの場合、これらの原因が複雑に関与して、サルコペニアが進行します。だからこそ、早めの対策が大切なのです。

【参考】和歌山県立医科大学附属病院「 ロコモティブシンドローム・サルコペニア

放置するとどうなる?サルコペニアのリスク

サルコペニアは、さまざまな健康上のリスクを高め、生活に影響を及ぼす可能性があります。

最も注意すべきなのは、転倒・骨折のリスクです。筋力とバランス感覚が低下すると、つまずきやすくなったり、よろけて転倒しやすくなったりします。高齢者の場合、転倒による骨折がきっかけで寝たきりになったり、要介護状態になったりするケースも少なくありません。

また、サルコペニアは、「フレイル(虚弱)」と呼ばれる状態の原因になります。フレイルとは、加齢とともに心身の活力が低下し、さまざまな機能が衰えていく状態のことです。放置すると、サルコペニアとフレイルが互いに影響を及ぼし、悪循環に陥ることもあります。

また、フレイルについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
→「 高齢者のフレイルとは?原因・症状から対策までを解説

【参考】大阪大学 大学院医学系研究科「 ふらつき・転倒予防

サルコペニアを早期発見するための方法

サルコペニアは、早期に発見し、対策を始めることが重要です。ここでは、サルコペニアの検査方法と、自宅でできるセルフチェックについて解説します。

医療機関での診断

サルコペニアの診断には、検査を受ける必要があります。ここでは、アジアの診断基準(AWGS)で実施される3つの検査を紹介します。

  • 握力チェック:握力を測り、筋力の低下を評価します。
    目安:男性: 28kg未満、女性: 18kg未満
  • 歩行速度チェック:通常の歩行速度を測り、身体機能の低下を評価します。
    目安:1秒間に1.0m未満
  • 5回椅子立ち上がり:椅子から立ち上がり、再び座る動作を5回繰り返し、その時間を測定します。
    目安:12秒以上
  • 筋肉量チェック:専用の機器(BIA法やDXA法)を用いて、体の筋肉量を測定します。

※これらの検査結果を総合的に判断し、サルコペニアの診断が行われます。筋肉量測定は、専門的な機器が必要となるため、すべての医療機関で実施できるわけではありません。

握力測定や歩行速度測定、5回椅子立ち上がりテストは、比較的実施しやすいため、多くの機関で実施可能です。

【参考】公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「 サルコペニアの診断

簡単セルフチェック

まずは、ご自宅で簡単にできるセルフチェックを試してみましょう。サルコペニアの疑いがあるかどうかを、ご自分で確認できます。

①指輪っかテスト:

  • 両手の親指と人差し指で輪っかを作ります。
  • 利き足ではない方の、ふくらはぎの一番太い部分を、力を入れずに軽く囲みます。

◯結果

  • 指が届かず囲めない → 筋肉量は十分
  • ちょうど囲める → サルコペニアの可能性あり
  • 隙間ができる → サルコペニアの可能性が高い

【参考】茨城県立医療大学付属病院「 ご存知ですか?サルコペニア・フレイル

②5回立ち座りテスト

  • 椅子に座り、腕を組みます。
  • できるだけ速く、5回立ち座りを繰り返します。

◯結果: 12秒以上かかる→サルコペニアの可能性が高い

※これらのセルフチェックは、あくまでも目安です。結果が良くても、気になる症状がある場合は医師へ相談しましょう。

今日からできる!サルコペニアを予防するための対策

サルコペニアは、習慣を見直すことで、予防・改善が可能です。ここでは、今日から始められる、「運動」と「食事」の2つの対策について詳しく解説します。

運動を定期的に行う

サルコペニア予防には、毎日の運動が欠かせません。まずは「日常生活で少しでも体を動かすこと」から始めましょう。

自宅でできる簡単筋トレ

サルコペニア予防には、下半身の大きな筋肉を鍛えることが効果的です。ここでは、自宅で簡単にできる、スクワットともも上げを紹介します。

◯スクワット

  • 足を肩幅より少し広めに開き、つま先はやや外側に向けます。
  • 両手は胸の前で組むか、前に伸ばします。(バランスを崩しやすい場合は、椅子の背もたれや壁に手を添えてもOK)
  • お尻を後ろに突き出すように、ゆっくりと膝を曲げていきます。(太ももが床と平行になるのが理想ですが、無理のない範囲で)
  • ゆっくりと元の姿勢に戻ります。

※回数: 10〜15回を1セットとし、1日2〜3セットを目安に。

※ポイント

  • 膝がつま先より前に出ないように注意しましょう。
  • 背中を丸めず、胸を張って行いましょう。
  • 呼吸を止めず、ゆっくりと息を吐きながら腰を下ろし、吸いながら戻しましょう。

◯もも上げ

  • 椅子の背もたれや壁に手をついて立ちます。
  • 片方の膝を、太ももが床と平行になるまでゆっくりと上げます。
  • 上げた足をゆっくりと下ろします。
  • 左右交互に繰り返します。

※回数: 左右各10〜15回を1セットとし、1日2〜3セットを目安に。

※ポイント

  • 背筋を伸ばし、お腹に力を入れて行いましょう。
  • 反動を使わず、ゆっくりとした動作で行いましょう。
  • 呼吸を止めず、息を吐きながら足を上げ、吸いながら下ろしましょう。

筋トレを行う際の注意点

  • 体調が悪い時や、痛みがある時は無理に行わないでください。
  • 少ない回数から始め、徐々に回数やセット数を増やしていきましょう。
  • 週2〜3回、無理なく続けられるペースで行いましょう。
  • 「テレビを見ながら」「音楽を聴きながら」など、「ながら運動」もおすすめです。

ウォーキングなどの有酸素運動

有酸素運動は、心肺機能の向上や全身の持久力を高める効果があります。ウォーキングは最も取り入れやすい有酸素運動の一つで、気軽に行える運動です。また、気分転換になるなど精神面にもメリットがあります。

「健康づくりのための身体活動基準2013」によると、65歳以上の高齢者は「毎日40分身体を動かすこと」に加えて、ウォーキングなどの運動を「1回30分以上・週2日以上」持つことで、筋力の維持・向上が期待されるとしています。まずは短時間から始めて、徐々に時間を長くしていくなど、無理のないように行いましょう。

【参考】公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「 高齢者に適したウォーキングとは

食事でしっかり栄養をとる

タンパク質の摂取が大切

筋肉の生成には、タンパク質が必要です。筋力低下の予防には、体重に応じた適切な量のタンパク質を摂取することが欠かせません。1日あたり体重1kgにつき、1.2〜1.5gのタンパク質摂取が必要です。体重50kgの人なら、50〜60g程度の摂取が求められます。

タンパク質が豊富に含まれる食品は、以下のとおりです。

  • 肉類
  • 魚介類
  • 大豆製品
  • 乳製品

まずは「毎食、これらの食品を1品以上取り入れる」「間食には、ゆで卵やチーズ、ヨーグルトなどを選ぶ」など、少しずつタンパク質を取り入れる意識を高めていきましょう。

【参考】東京都福祉局「 食べるフレイル予防

バランスの取れた食事

筋力・健康の維持には、バランスの取れた食事が欠かせません。まず、エネルギー源となる「主食」(ごはん、パン、麺類など)は、毎食きちんと摂りましょう。食物繊維が豊富な玄米や雑穀米、全粒粉パンもおすすめです。

体の調子を整える「副菜」(野菜、きのこ、いも、海藻など)は、1日に小鉢5〜6皿程度を目安に。緑黄色野菜と淡色野菜をバランス良く、煮物、炒め物、サラダなど色々な調理法で楽しんでください。冷凍野菜やカット野菜も便利です。

カルシウム補給には「牛乳・乳製品」を摂りましょう。牛乳ならコップ1〜2杯、ヨーグルトなら1〜2パック、チーズなら1〜2切れ程度が目安です。低脂肪タイプを選べば、カロリーも抑えられます。

みかんやりんごなど、旬の「果物」で、ビタミンCなどが摂れます。ジャムやジュースだけでなく、果物そのものを食べるのがおすすめです。

これらの食品を組み合わせ、適度な運動も心がけながら、毎日の食事を楽しみましょう。

【参考】農林水産省「 シニア世代の健康な生活をサポート 食事バランスガイド

まとめ:健康的な毎日を送るために

この記事では、サルコペニアのリスクと、今日からできる対策について解説しました。サルコペニアは、早期発見・早期対策が大切です。

  • サルコペニアとは:加齢に伴う筋肉量と筋力の低下のことです。転倒、要介護、QOL低下のリスクを高めます。
  • 症状:握力低下、歩行速度低下、つまずきやすさなど。
  • 原因:加齢だけでなく、運動不足や栄養不足、疾患も影響。
  • 早期発見が大切:指輪っかテストや立ち座りテストなど、自宅でできるセルフチェックも有効です。
  • 今日からできること:スクワットやウォーキング、タンパク質を積極的に摂取し、バランスの良い食生活を心がけましょう。

ご家族様の体力低下を感じたら、まずは、この記事のセルフチェックをお試しください。そして、できる範囲で、運動や食事の習慣を見直してみましょう。

もし、気になる症状が続く場合には、早めにかかりつけ医に相談することも大切です。サルコペニアに負けない体づくりを、今日から始めていきましょう。

この記事の監修者
北村 昌枝
介護支援専門員

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