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介護にかかるお金
2026.09.25

老人ホームの費用シミュレーションを解説!在宅介護との比較も

老人ホームの費用シミュレーションを解説!在宅介護との比較も

「老人ホームの費用はどのくらいかかるのだろう?」「親の年金で足りるのか心配…」

このような不安はありませんか。

老人ホームの費用は「入居一時金」と「月額費用」に大きく分かれます。しかし、実際には、日用品や医療費など別途かかる出費も多くあります。全体像を把握しないまま入居すると、思わぬ経済的負担に悩むことになってしまうかもしれません。

この記事では、老人ホーム費用の内訳や相場、在宅介護との比較、ケース別シミュレーション、公的制度の活用方法まで詳しく解説します。施設選びと資金計画の参考として、ぜひ最後までお読みください。

老人ホームの費用シミュレーション|内訳と相場を解説

老人ホームの費用をシミュレーションするためには、内訳と相場を理解することが大切です。費用は、大きく分けて「入居一時金」と「月額費用」の2種類があります。

老人ホームの費用は2種類「入居一時金」と「月額費用」

入居一時金は、入居時に支払うまとまった費用のことです。一方、月額費用は、生活費として毎月継続的に施設へ支払います。それぞれの費用の詳細をみていきましょう。

入居一時金:家賃の前払い費用。0~数千万円まで幅広い

入居一時金とは、入居の際に一括で支払う費用であり、金額は施設によって幅広く、0~数千万円までさまざまです。

また、想定された居住期間よりも早く退去した場合、契約に基づいて未償却分が返還されるのが一般的です。そのため、金額だけでなく償却期間や返還金の規定についても、契約前に必ず確認しましょう。

月額費用:毎月の生活費|内訳は家賃・食費・介護サービス費など

月額費用は、老人ホームで生活を続けるために毎月支払う費用です。居住費(家賃)や食費、共用施設の維持管理費などが含まれるのが一般的で、介護保険サービスを利用した際の自己負担分もこの費用に含まれます。

ただし、日用品費や理美容代、診察料、薬代といった費用は、実費で支払うのが一般的です。

そのため、正確な資金計画を立てるには、月額費用にどの項目が含まれているかを事前に確認しておくことが大切です。

在宅介護と老人ホームの費用シミュレーション

在宅介護と老人ホームの費用を月額で比較することは、介護の選択肢を検討する上で非常に重要です。調査によると、在宅介護の月額平均は約5.3万円、施設介護では約13.8万円とされ、両者には約8.5万円の差があります。

在宅介護は費用を抑えやすい一方で、手すり設置などの住宅改修に初期費用がかかる場合があります。老人ホームは月額費用が高めですが、24時間体制で専門的な介護を受けられる安心感があります。ご家族の介護状況や経済状況を踏まえ、どちらが最適かを見極めることが大切です。

【参考】公益財団法人 生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」

※在宅介護の費用について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

【施設の種類別】老人ホームの費用相場一覧表

老人ホームは「公的施設」と「民間施設」の2種類があります。それぞれに費用やサービスの特徴があります。

以下の表は、老人ホームの費用や入居条件をまとめたものです。

         

施設種類 入居一時金 月額費用 主な入居条件
【公的施設】      
特別養護老人ホーム
(特養)
なし 10~14万円 原則として要介護3以上
介護老人保健施設
(老健)
なし 10~21万円 要介護1以上
介護医療院 なし 8~20万円 要介護1以上で、長期療養が必要な方
ケアハウス
(軽費老人ホーム)
0~数十万円 9~15万円 60歳以上、自立~要介護
養護老人ホーム なし 0~14万円
(収入による)
65歳以上、経済的・環境的な理由で生活困難な方
【民間施設】      
介護付き有料老人ホーム 0~数千万円以上 10~35万円以上 自立~要介護 5まで幅広く対応
住宅型有料老人ホーム 0~数百万円 11~20万円
(+外部介護費)
自立~要介護 5 まで幅広く対応
サービス付き高齢者向け住宅 0~数百万円
(敷金)
5~14万円
(+外部介護費)
60歳以上、自立~軽度の要介護者
グループホーム 0~100万円程度 15~20万円 要支援2以上、認知症の診断、
施設と同じ市区町村に住民票

公的施設は費用が安い反面、入居待ちが多い

特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設は、費用を安く抑えられる点が最大のメリットです。入居一時金が不要なケースが多く、月額費用も民間施設に比べて低目に設定されています。

例えば、特別養護老人ホームの月額費用相場は10~14万円程度です。しかし、費用の安さから人気が高く、多くの施設で長期間の入居待ちが発生しています。また、原則として要介護3以上の介護度が必要です。

※特別養護老人ホームについて、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

民間施設は選択肢が豊富

介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホームなどの民間施設は、公的施設よりも費用は高額になる傾向にあります。しかし、選択肢の豊富さと手厚いサービスが魅力です。

近年では、特別養護老人ホーム(特養)と同程度の月額費用で入居できる施設も増えており、予算に合わせた施設を選べます。民間企業が運営しているため施設数が多く、比較的スムーズに入居しやすいというメリットもあります。

月額費用の相場は15~35万円程度で、入居一時金も0円から数百万単位まで幅広く設定されています。レクリエーションやイベントが充実していたり、医療体制が手厚かったりと、施設ごとの特色も豊かです。質の高いサービスや快適な生活環境を求める方にとって、有力な選択肢となるでしょう。

老人ホーム費用シミュレーションを実践しよう!

シミュレーションの基本は、収入・資産の確認から始まり、施設の費用相場や介護保険の自己負担、さらに生活に必要なその他の費用まで含めて検討することです。ここでは、4つのステップで具体的な方法を解説します。

ステップ1:ご本人の収入と資産を正確に把握する

まずは、ご本人の収入と資産を整理することから始めましょう。年金や預貯金、保険の給付など、毎月の収入と将来使える資産を把握しておくと、どの程度の費用を支払えるか見通しを立てられます。

例えば、月15万円の年金収入があれば、それを基準に不足分を貯蓄やご家族の援助で補えるかを検討します。まずは現状を正確に把握することから始めましょう。

ステップ2:希望する施設の種類とエリアの費用相場を調べる

次に、希望する施設の種類とエリアの費用相場を調べましょう。老人ホームの費用は、公的施設か民間施設かといった種類や、都市部か郊外かといった立地によって大きく変動します。

相場を知ることで、予算内でどのような選択肢があるか具体的に見えてきます。例えば、特別養護老人ホームなどの公的施設は比較的安価ですが、待機期間が長い傾向があります。一方、民間施設は費用が高めですが、サービスが手厚く入居しやすいのが特徴です。

まずは、ご本人やご家族の希望を整理し、候補となる施設やエリアの相場を把握しましょう。

ステップ3:介護保険の自己負担額を計算する

次に、介護保険サービスを利用した際の自己負担額を計算します。老人ホームの月額費用には、介護サービス費が含まれています。介護サービス費の自己負担額は、ご本人の「要介護度」と「所得に応じた負担割合」によって決まります。

負担割合は「介護保険負担割合証」で確認できるため、事前に確認しておくことが必要です。要介護認定の申請を受けていない方は、市区町村の窓口や地域包括支援センターへ相談しましょう。

※介護保険申請について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ステップ4:入居後の暮らしでかかる「その他の費用」も忘れずに

月額利用料以外にかかる「その他の費用」も忘れずに考慮しましょう。提示される月額費用には、個人の医療費や日用品費などが含まれていないケースが多いためです。

他にも、定期的な通院費や薬代、おむつなどの介護用品費、理美容代、衣類や趣味にかかる費用などが挙げられます。現在の生活費を参考に、月々どのくらい必要かを見積もっておくと、より正確にシミュレーションすることが可能です。

【ケース別】親の状況で考える老人ホームの費用シミュレーション

ここでは3つのケースを例に挙げ、単身や夫婦で入居する場合など、条件ごとの費用感を紹介します。資金計画を立てる際の参考になさってください。

ケース1:【要介護2・単身】年金収入内を希望するAさんの費用シミュレーション

プロフィール(収入・資産・希望施設)

Aさんは、月額15万円の厚生年金収入の範囲内で生活できる施設を希望しています。200万円の貯蓄は、将来の医療費や万が一の出費に備えて、できるだけ使わずに残しておきたいと考えているためです。

現在、要介護2の認定を受けており、日常生活での見守りや一部介助が必要な状態です。そこで、比較的費用を抑えられる公的施設「特別養護老人ホーム」と、一般的な民間施設「介護付き有料老人ホーム」の2種類を比較検討します。

介護付き有料老人ホームに入居した場合の月額費用

介護付き有料老人ホームの月額費用は、おおむね10~35万円程度です。内訳は家賃、食費、管理費に加え、介護保険サービスの自己負担分が含まれます。

選択する施設によっては、Aさんの年金収入15万円では不足が生じるため、貯蓄やご家族の援助で補う必要があります。費用は高めですが、日常生活全般にわたるサポートやレクリエーションが充実しており、安心して暮らせる環境が整っています。

特別養護老人ホームに入居した場合の月額費用

特別養護老人ホームの月額費用は、約10~14万円が目安です。入居一時金は不要で、家賃や食費、介護サービス費が含まれます。

Aさんの年金収入15万円の範囲で支払い可能であり、経済的な負担は比較的抑えられるでしょう。ただし、入居待ちが長くなることも多いため、早めの申し込みや他施設との併用検討が必要です。

ケース2:【要介護4・単身】手厚い介護を受けたいBさんの費用シミュレーション

次は、要介護4で手厚い介護を希望するBさんです。このケースでは、手厚い人員配置の介護付き有料老人ホームを想定し、月額費用を確認します。

プロフィール(収入・資産・希望施設)

Bさんは80代前半の男性で、年金収入は月20万円、貯蓄は700万円です。要介護4の認定を受けており、食事・排泄・入浴に介助が必要です。ご家族の負担を減らすため、24時間体制で介護を受けられる介護付き有料老人ホームを希望しています。

介護付き有料老人ホーム(手厚い人員配置)の月額費用

Bさんは、手厚い人員配置がある介護付き有料老人ホームを選びました。今回は月25万円の施設を想定しています。

Bさんの年金だけでは不足が出るため、貯蓄の取り崩しが必要です。しかし、ご本人が手厚いサポートを希望されているので、専門職による24時間のサポートを受けられるため、満足されています。

ケース3:【夫婦・要支援1】夫婦で入居を検討するC夫妻の費用シミュレーション

最後に、夫婦での入居を検討しているC夫妻のケースです。要支援1の段階では介護度が軽いため、生活支援中心の施設が選択肢となります。

費用は夫婦2人分となるため、収入と資産を合わせて検討することが欠かせません。今回は、住宅型有料老人ホームを想定して、実際の月額費用を確認します。

プロフィール(収入・資産・希望施設)

C夫妻はともに80代前半で、夫婦合わせた年金収入は月25万円。貯蓄は1,500万円あり、将来も安心して生活できる施設を希望しています。現在は要支援1の認定を受けており、日常生活はほぼ自立していますが、食事や掃除などの支援を希望しています。検討しているのは住宅型有料老人ホームです。

住宅型有料老人ホームに入居した場合の月額費用

住宅型有料老人ホームでは、夫婦2人分で月額22~40万円程度が必要です。内訳は家賃、食費、管理費に加え、必要に応じて外部の介護サービスを利用する費用が含まれます。

年金収入だけでは不足しますが、貯蓄を活用すれば長期的な入居も可能です。夫婦で一緒に生活できる点や自由度の高い暮らしが魅力であり、安心と快適さを重視する方に適しています。

老人ホーム費用シミュレーションの結果「払えない」を防ぐための選択肢

シミュレーションの結果、費用が予算を上回ってしまうこともあるかもしれません。ここでは、費用が払えない状況を避けるための方法を紹介いたします。

公的制度を活用して自己負担を軽減する(高額介護サービス費制度など)

介護保険の自己負担額が高額になった場合に利用できる、公的な負担軽減制度を活用しましょう。介護保険制度には、利用者の負担を軽くするためのセーフティーネットが用意されています。

代表的な制度が「高額介護サービス費制度」です。これは、1ヶ月の介護保険サービス自己負担額の合計が所得に応じた上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される仕組みです。例えば、一般的な所得の世帯(年収770万円未満)であれば、月々の自己負担額の上限は44,400円が目安となります。お住まいの市区町村の窓口への申請が必要です。

【参考】厚生労働省「高額介護サービス費について」

より費用を抑えられる施設の種類を再検討する

希望していた施設の費用が高額で入居が難しい場合は、より費用を抑えられる他の種類の施設を再検討することも有効です。老人ホームには、さまざまな種類があり、費用やサービス内容が大きく異なります。

例えば「介護付き有料老人ホーム」が予算オーバーなら、「住宅型有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」を検討してみましょう。これらの施設は、生活支援サービスが中心で、介護サービスは外部の事業者を個別に利用するため、必要な分だけを選んで費用を調整しやすいのが特徴です。

公的施設である「特別養護老人ホーム」は費用が安いですが、入居待ちが多いこともあります。早期の入所を希望する場合には、視野を広げて施設を探すことが重要です。

費用面で困ったらケアマネジャーや地域包括支援センターに相談

費用に不安を感じたら、ひとりで抱え込まずに専門家へ相談することが大切です。ケアマネジャーや地域包括支援センターでは、公的制度や介護サービスの活用方法についてアドバイスが受けられます。

また、老人ホームの相談員に相談すれば、施設ごとの費用の内訳やサービス内容について、詳しく説明してもらえます。早めに相談すると、不安を解消しながら、入居の検討をスムーズに進めることが可能です。

早めに費用シミュレーションを行い介護準備をしよう!

本記事では、老人ホームの費用を「入居一時金」と「月額費用」に分けて整理し、在宅介護との比較、ケース別シミュレーション、公的制度の活用法まで解説しました。費用は施設の種類や地域、要介護度によって大きく変わります。

まずは現状を見える化し、制度や施設選びで調整していくことが重要です。以下が本記事の要点です。

  • 入居一時金と月額費用の内訳を把握し、契約前に償却・返還条件を確認しましょう。
  • 在宅と施設では月額の水準や初期費用、介護の担い手が異なるため、金額だけでなく安心感・家族負担も比較しましょう。
  • シミュレーションは「収入・資産の棚卸→相場確認→自己負担額の算定→その他実費の見積り」の順で行うと精度が上がります。
  • 高額介護サービス費や特定入所者介護サービス費など、公的制度で自己負担を軽減できます。
  • 予算に合わない場合は、施設の種類やエリアを見直すと選択肢が広がります。

 

費用や制度が利用できるかどうかは、ケースによって異なります。迷ったときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターといった専門機関に相談しながら、手続きを進めていきましょう。

この記事が、ご本人とご家族が安心して最適な選択肢を見つけるきっかけになれば幸いです。

この記事の監修者
北村 昌枝
介護支援専門員

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